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第12話 不当労働と感じても、勢いで上司を殴ると危険

 エリハにカードを不正使用された、可哀想な青年真人くん。
 本来はずぼらな性格であるはずが、厄介者の王女様が住み着いてからというもの、やりくりに不安を感じ家計簿まで付け始めた始末。
 「え~いっ!」
 当の本人は、家主の苦労などどこ吹く風。今も、どこで勝手に買ってきたのか、メタルギアでエキサイトしている。女の子が楽しんでやるゲームにしては、変だ。
 帳簿といわず一切の履歴を残す気がないエリハは、物が売れてたらさっさと発送をしていた。そのため、真人は資金の流れがまったく把握できていないでいた。
 はたして赤字なのか黒字なのか。それすらも定かではない。
 赤字だったとして、この金の使いようであったら、サラ金に手を出しかねない。
 真人はひたすら危機感を抱き、エリハはお気楽気楽を貫いていた。
 しかし真人は先月から、
 「売上が分からないんじゃ、ウェンディーズには連れて行けない」
 と、リーサルウエポンを持ち出した。
 ウェンディーズをエサに脅迫することには気が引けたが、死活問題だからと、自らを納得させた。
 兵器は功を奏し、それは困るとばかりに、エリハは損益計算書を付け出した。
 粉飾決算をされそうで怖いが、やらないでいられるよりはいいだろう。

 そんなこんなで、お気楽王女様が帳簿を付け出してから、約一ヶ月が経過した。損益計算書を見て、真人は目を疑った。
 「売上が、7万…」
 約束の5万円を、優に超えている。オークションずぶの素人が、一ヶ月でここまで出来るだろうか。
 「ざっとこんなものよ~♪」
 エリハは得意げだ。
 「約束どおり、本場の欧米料理を食べに行くわよっ!真人のおごりでっ♡」
 7万稼いでもらってウェンディーズに連れて行くだけで済むのなら、こんなぼろい話はない。真人の鼻息は荒くなった。
 真人の脳内デビルが囁く、『コイツをうまく使え』と。
 シートを下まで目で追っていくと…ん?
 「おい、何で純利益が1万しかないんだよ」
 不信な点に気づく。
 損益計算書に目を通すと、交際費が4万円。
 「って、誰を接待したって言うんじゃぁぁぁぁ!!!!」
 怒涛の勢いでエリハに掴みかかる真人。エリハの襟首をつかんで、がくんがくんいわす。
 「ちょ、そではあだひののうみほがでふね~~(それはアタシの脳みそがですね)」
 エリハの頭に星が回っている。
 ちなみに、飲食費というのは『交際費』という勘定科目に該当します。帳簿につけるときは、勝手に勘定科目を作らないように注意しましょう。このサイトを参考にされると良いですよ。
 「仕入れに2万以上だから、これじゃマイナスだな…」
 結局はこんなオチなのです。
 真人の頭痛の種は消えないようだ。

 to be continued

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