第11話 財布は人に預けてはいけない
「ただいまー♪」
エリハ帰宅。その手には、コンビニ袋が提げられていた。
「紅茶が冷めちゃったよ。お湯、沸かさなきゃ」
「おいっ、これは何だ!!」
憤怒する真人の手には、先ほどの郵送物の一つが握られていた。
「あ、届いたんだ。後でオークションにアップしておくから、その辺に置いといてくれればいいよ」
そう言って、やかんに水を入れコンロの火にかける。何事もないように。
「そうじゃないっ!!買ったのかコレ!!」
エリハが言うそれとは、
「欲しいの、1個?それ、レディースのバッグだよ?」
そう、男が持って歩くには不自然な、ヴィビットなカラーのバッグだった。
「買ったのか?いくらしたんだ!?」
真人は金銭的な面が気になるらしい。それはそうだ。エリハにとって金の出所など、一つしかない。
「えーとね、全部で2万円くらいだったかな~。納品書が入ってると思うから、それ見てよ」
「その金は…まさか…」
嫌な予感は、えてしてよく当たるものだ。
「カードで買ったの。マサトの」
真人は瞳を閉じた。脳内では、平井賢が高音で歌っている。
「どうして無許可で、そんなもん買ったりしたんだ!!売れなかったら大損じゃないか!!それでなくても、お前がいるお陰で今月は厳しいって言うのに…」
真人は涙した。激怒よりも、悲しさが込上げて来る。
「大丈夫だよ~。アタシに任せといてっ☆」
ど~んと胸を張るエリハ。説得力もなく、まるで根拠がないだけに、真人の不安は消えることはない。
「カードって、怖い…」
また一つ、現代社会の怖さを知った真人であった。
「マサト、ロシアンティ飲む?ジャムが入ってて美味しいよ♪」
「いるかーっ!!!」
to be continued
